衆議院選挙迫る<沖縄3区> 補選に次ぐ二度目の一騎打ち

 

 19日公示、31日投開票の衆院選沖縄3区は立憲民主党現職の屋良朝博氏(59)と、自民党新人で元沖縄北方担当相の島尻安伊子氏(56)の一騎打ちとなる見込みだ。2019年4月にあった3区補選と同じ顔ぶれとなる。沖縄本島北部のやんばる地域から中部のうるま市や沖縄市まで、さらに離島3村が選挙区で、市部を中心に前哨戦が繰り広げられている。

知事のお膝元

 沖縄3区は沖縄市、うるま市、名護市、国頭村、大宜味村、東村、本部町、今帰仁村、金武町、恩納村、宜野座村、伊江村、伊平屋村、伊是名村と3市2町9村に及ぶ広大な選挙区だ。

 小選挙区制が導入された1996年と2000年の衆院選まで、沖縄3区には革新地盤とされる読谷村や嘉手納町、北谷町、北中城村、中城村が含まれていた。選挙では社民党の候補が立て続けに議席を確保していたが、現在の区割りに見直された03年、05年は自民党が議席を奪取。建設業や農業をバックに、自民系に地の利のある地域としての評価が定着しつつあった。

 ところが、民主党が政権交代を果たした09年の衆院選以降、そうした構図は液状化する。09年はうるま市出身の玉城デニー氏(62)が民主党から出馬して初当選を果たし、自民党が政権を奪還した12年衆院選では同党の比嘉奈津美氏(63)が玉城氏を下した(玉城氏は比例復活)。辺野古の基地建設に反対する「オール沖縄」の流れが生まれた14年、17年は、玉城氏が比嘉氏を抑えて勝利している。

 玉城氏が18年の知事選に転身したため、19年4月に沖縄3区補選が実施され、新人2氏が出馬。玉城氏の後継指名を受けた屋良氏が、島尻氏を退けた。投票率は43.99%で、得票数は屋良氏が77,156票、島尻氏が59,428票だった。沖縄3区は知事の「お膝元」としても注目される。

SNSやユーチューブで政策発信

 新型コロナウイルスの影響下で初めて実施される衆院選。立候補予定者はこれまでのような有権者とのスキンシップが図れず、SNSなども活用して政策をPRしている。

 現職の屋良氏は元沖縄タイムス記者で、基地問題に精通する。1期目から国会の委員会質疑でもたびたび質問に立った。

屋良朝博氏 立憲民主党HPより

 9月にオンラインで行った事務所開きでは「衆議院議員になると決めた大きなきっかけに、やはり辺野古の問題がある。なぜ沖縄だけ、これほど基地問題を抱えておかなければいけないのか。それが私の根本、原点だ」と強調した。基地政策では「辺野古不要の普天間返還プラン」を掲げる。

 本土復帰から約50年の沖縄振興策については、県民所得の低さや子どもの貧困率の高さが課題として残ることを指摘し、国主導の公共工事で沖縄企業が元請けになれていない構図の改善や、ものづくりの足かせになっている物流コスト低減などを訴えている。

 対する島尻氏は、参議院議員在任中に沖縄北方担当相を務め、沖縄振興に子どもの貧困対策を位置づけ、予算化の道筋をつけた。

島尻安伊子氏 島尻氏のHPより

 ユーチューブに上がる政策動画でも、「4つの挑戦」のいの一番に、子どもの貧困連鎖を断ち切ることを掲げた。「子どもの貧困問題についてはこれからも事業を充実させていく。4人の子育てをした母親としても、女性としても、本当の意味で明るい沖縄をつくっていく、沖縄振興の残された課題としても、子どもの貧困問題が0になるよう頑張る」と支持を呼びかける。

 このほか、健康長寿沖縄の復活や沖縄本島の南北格差の解消、普天間飛行場の危険性除去と辺野古問題に道筋を示し、沖縄の過重な基地負担を軽減することを打ち出す。

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