ぺルー舞踊「マリネラ」日本代表菊田夫婦、本場移住で世界頂点へ

 
ペルーの伝統舞踊「マリネラ」(本人提供)

 発祥の地とされるトルヒーヨ市では毎年世界大会が行われ、その世界大会のシード権をかけた予選コンクールがペルー国内はもとより、欧米を中心に世界中で開催される。日本では2012年から毎年予選コンクールがあり、現在は大阪、京都、名古屋、横浜の4都市で開催されている。

国内大会で7度の優勝、日本代表として世界大会出場

 二人は2016年に結婚後、大阪を拠点に、全国各地のマリネラのコンクールに出場。2016年と2017年の世界大会には日本代表として出場した。

 世界大会は8日間かけて行われる。大会は勝ち残り方式で、第1決勝で24組、第2決勝で12組、第3決勝で3組に絞られて、本決勝が行われる。曲は、ブラスバンドの生演奏に合わせて即興で踊らなければいけないのが決まりのため、競技者にとってあらかじめ振り付けを決めて踊ることができないのが難だが、観客にとってはひとつの魅力だ。

世界チャンピオン目指し、本場に移住

 菊田夫婦の世界大会での最高成績は第1決勝。目標である「マリネラ世界チャンピオン」となるには、第2決勝、第3決勝と勝ち抜いていかないといけない。二人は本格的にマリネラを学ぶため、修行を目的に本場であるペルー北部のトルヒーヨ市に2019年から移住した。個々の技術力向上に加え、ペアとして踊りの中でのコミュニケーションや表現力、息遣い、即興性などを重点的に学んでいった。

 ペルー・トルヒーヨ市内の大会や国際大会に出場したり、移住後初の世界大会「第60回マリネラ世界大会」では早くも練習の成果が現れ、大勢の中から予選を勝ち抜き、第1決勝に進んだ。

2020年のマリネラ世界大会、白の衣装で出場=ペルーにて(本人提供)

 モニカさんと真志さんは「ペルーに移住して最初の世界大会だったので、ここからスタートするという気持ちで場慣れするためにも予選から出場した。結果が踊りに出て、本場のペルーで予選を実力で勝ち取って第1決勝に出場できたことが自信になったし、よいスタートが切れた」と話す。

 「同時に自分たちの実力、世界の壁を痛感した。夢は、日本にもっとマリネラを広め、日本とペルーの架け橋になること。世界チャンピオンは通過点なので、次は第2決勝、第3決勝と叶えていけるように頑張っていく」と目標に向けて自らを奮い立たせた。

「日本とペルーを結ぶ架け橋に」

 そんな二人は、日本とペルーをつなぐ活動として、日系人としてのルーツも大切にしたいと積極的に誇りや思いを発信している。

 「国際日系デー(6月20日)」に合わせてヒスパニック文化センターが主催したオンラインイベントでモニカさんは「曽祖父母が沖縄からペルーに渡って、世代を超えて父が日本に憧れ渡り、今度は私が夢と希望を持ってペルーに来ていることは感慨深いものがある。日本という共通のルーツを持っているだけで家族になれる。世界中とつながれることを嬉しく思うし、誇りに思う。これからも日本と世界を結ぶ架け橋として交流を深めていけたら」と思いを伝えた。

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