市政継続か交代か 来年注目の3市長選

 

軍港問題の行方占う浦添


 浦添市長選は、自民系現職の松本哲治氏(53)が3選を目指し出馬を表明している。事務所開きには、4年前の前回市長選で松本氏の対抗馬擁立に動いた市内の有力企業幹部の姿もあった。


 浦添の選挙で半世紀近く争点となっているのが、那覇港湾施設(那覇軍港)の浦添埠頭への移設計画の是非だ。この計画は沖縄が本土に復帰した2年後の1974年に日米間で合意されたが、46年が経過した今も実現しておらず、市長選の度に立候補者が賛否を問われてきた。

沖縄ニュースネット
那覇軍港


 2013年の市長選で軍港移設反対を掲げて初当選した松本氏は、その後移設容認に転じ、独自に修正を施した移設案を掲げて17年の市長選で再選された。その後、20年8月になって防衛省がこの松本案に難色を示したことで、松本氏は沖縄県や那覇市が長く議論してきた案を受け入れる考えを表明した。松本氏にとって21年2月の浦添市長選は、自身の再度の公約変更への信任投票という意味合いを持つ。


 一方、この軍港移設問題は「オール沖縄」にとっても〝アキレス腱〟となっている。辺野古の米軍基地建設と同様に海を埋め立てる工事でありながら、玉城デニー知事(61)や前知事の故翁長雄志氏らが辺野古には反対し、一方の那覇軍港の浦添移設は容認してきたからだ。「オール沖縄」の中でも共産や社民は浦添移設への反対を鮮明にしており、一枚岩ではない。


 松本氏の対抗馬擁立をめぐり気になるのは、その中心的役割を担ってきた地元選出の赤嶺昇県議会議長(53)の動静だ。前回は赤嶺氏が市内の企業関係者や「オール沖縄」を巻き込んで対抗馬を担いだが、結果は松本氏に8690票差をつけられて惨敗。維新や社民、共産など政治的立場の異なる勢力が集まったことで軍港移設問題のスタンスがあいまいとなり、その有様は「烏合の衆」とやゆされた。


 松本氏と敵対してきたその赤嶺氏が、今回の市長選では目立った動きを見せていない。20年6月の県議選後、赤嶺氏は自民の水面下の工作により県議会議長に就任できた経緯がある。松本陣営の選挙関係者は「赤嶺は自民に恩があり、今回はおとなしくしているはずだ。浦添市の経済界も軍港移設の考え方の違いから4年前は向こう側だったが、今回は松本に流れる」と推論する。


 マスコミ報道によれば「オール沖縄」は今回、共産党浦添市議の伊礼悠記氏(37)を擁立する方向で調整を進めている。ある革新政党の関係者は「前回のように那覇軍港の移設問題の主張をあやふやにせず、はっきり反対を打ち出せる候補だ。元看護師で医療に明るく、若さとフレッシュさがある」と自信をのぞかせる。伊礼氏に決まれば軍港問題に関する争点は明確となり、軍港移設を容認している玉城知事の対応も焦点だ。

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