【検証・玉城県政①】減り続ける沖縄振興予算

 

ソフト交付金の減額で大型事業の数も半減に

 一括交付金のうちソフト交付金は、県と市町村が協議して自由に使い道を決めることが裁量度の高い予算だ。地方分権を重視した民主党政権時代に認められたものだ。このソフト交付金も減額に歯止めがかからない。2014年度に826億円あったソフト交付金は、今年度は394億円と半分以下になった。

 ソフト交付金の全体額が減るなかで、懸念されるのは大規模事業が激減していることだ。例えば、仲井真県政時代の2014年度にはソフト交付金を使った10億円以上の事業は、以下の図のように16に及んだ。

 航空機関連事業の集積を目指して那覇空港に航空機整備用の格納庫を整備した「航空機整備基地整備事業」や海外からの航空路線の誘致のための「沖縄観光国際化ビッグバン事業」など、沖縄経済の今後を見据え、長期的スパンに立った事業が並ぶ。

 ところが、今年度、ソフト交付金を使った10億円以上の事業の数は、といえば、7つにとどまっている。離島の不利性を解消するための事業や農林水産関連の事業が並び、いずれも欠かせない事業ではあるものの、今後の沖縄経済のあり方を示す事業としては弱いと言わざるを得ない。

 県の元幹部はこう指摘する。
 「これからの沖縄をどういう方向に導くのか、象徴するような大型事業を県が示して、それに向けて官民が一体となって進んでいくことが望ましいはずですが、今の県は予算不足でそうした事業を打ち出すことができない。県がまとめた新しい沖縄振興計画も抽象的な文言が並ぶばかりで、具体的な大型事業が盛り込まれていませんでした。
 知事をはじめ県の執行部は、基地問題で国と対立しているから、予算が減るのは国による県の締め付けのせいだと片づけているのでしょうが、もっと知事がリーダーシップを発揮して予算の獲得に力を入れなくては、コロナ後に素早く沖縄の経済を回復させることができなくなってしまう」

「県は総額の要求ばかり、具体的事業の提案なかった」

 沖縄振興予算は、仲井真県政時代に政府と県が2021年度まで3000億円台を確保することで合意していた。その期限が過ぎた2022年度の予算は、内閣府による概算要求の段階で3000億円を割り込む2998億円となり、財務省案で2403億円まで減り、県選出の西銘恒三郎沖縄担当大臣に花を持たせる形で2680億円で決着した。それでも前年度比11%もの大幅減だ。

 昨年末の閣議決定後に玉城知事は「『新たな沖縄振興』の発展につながる予算として、県の思いに応えるものだとは到底考えられず、大変残念だ」とコメントしたが、県は予算額の決定のプロセスで蚊帳の外に置かれた形だ。

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