【参院選】伊波氏が僅差で再選 オール沖縄、苦境の中での光明となるか

 
当選確実の報を受け、万歳する伊波洋一氏(前列左から3人目)と関係者ら=11日、那覇市の教育福祉会館

 第26回参議院議員通常選挙は10日に投開票され、沖縄選挙区では無所属現職の伊波洋一氏(70)が27万4,235票で当選し、2期目となる議席を守った。那覇市古島の教育福祉会館で支持者らに祝福を受けた伊波氏は「これは沖縄の民意の勝利です。辺野古新基地に『NO』という民意の勝利です。二度と沖縄を戦場にさせないという勝利です」と喜びを語った。開票率98%を超えても報道各社からの当確が出ないという稀にみる状況が、大接戦の激闘を物語った。

2,888票差の接戦

 沖縄の“選挙イヤー”とされる今年、オール沖縄勢力の候補は1月の名護市、南城市、2月の石垣市、4月の沖縄市の各市長選で4連敗と苦境が続いてきたが、今回の勝利で同じく全県選挙である9月の沖縄県知事選に向けて弾みをつけた格好だ。

 参院選沖縄選挙区の結果は以下の通り(選管最終)。

伊波洋一氏(70) 無・現 274,235票
古謝玄太氏(38) 自・新 271,347票
河野禎史氏(48) 参・新 22,585票
山本圭氏(42)  N・新 11,034票
金城竜郎氏(58) 幸・新 5,644票

 投票率は50.56%で、3年前の前回選挙を1.56ポイント上回った。

伊波氏「沖縄の民意の勝利です」

2期目への決意を語る伊波氏

 「支持者の皆さん、県民の皆さん、今日の勝利本当にどうもありがとうございました」。当確の報を受け、伊波氏は第一声で先ず感謝を述べた。

 2,888票差での決着となった今回、テレビモニターで開票の進捗状況を見つめる伊波氏と支持者らは、県内各市町村の票差が読み上げられるたびに拍手したり、ため息をついたりと、結果が明らかになるまで緊張感の中で一喜一憂する時間が長く続いた。日付が変わる頃に「当確」の文字が出た瞬間、じりじりと溜め込まれた感情が一気に爆発したように歓声が上がった。

 伊波氏は妻の成子さんと抱き合って喜び、その後すかさず応援に駆けつけていた玉城デニー知事とグータッチして喜びを分かち合った。「接戦の中でこの勝利の大きさを実感しました」と伊波氏。「これまでの6年間もしっかりやってきましたが、それをさらにパワーアップして県民の民意を伝えたい。辺野古新基地はNOということをしっかり掲げ、沖縄は日米政府の駒ではないと」

 また、経済については「観光経済の回復を確実に、知事とタッグを組んでやってきたいと思います」と述べ、「多くの支持者、県民の皆さまの力を得て国会に参ります」と改めて気を引き締めた。

玉城デニー知事とグータッチ

 大接戦の行方をともに見守った玉城デニー知事は「伊波さんが地道に多岐にわたって国に対して問題提起をしてきたということが、本人の演説や後援会のみなさんの取り組みで伝わった証だろうと思います」と結果を受け止めた。

 今秋に予定されている知事選については「おそらく知事選挙では、今回の参院選と争点が似ている部分もたくさん出てくるでしょう」と述べ、経済政策や基地問題について「伊波さんが県民の皆さんに訴えたことを“沖縄県政バージョン”にして、しっかり選挙で掲げて訴えていきたいと思います」と話した。

古謝氏、猛追に「皆様のおかげです」

相手候補に当確の報を受け、無念の表情を浮かべる古謝玄太氏=11日、那覇市の選挙事務所

 一方の古謝氏陣営。日付が変わって11日になって間もなく、伊波氏に出た当確のテレビ報道を受けて支持者から漏れ出たため息が、長かった選挙戦に終わりを告げた。約3,000票の僅差で敗れた古謝氏は、支持者に対し「遅い時間まで見守って頂きまして本当にありがとうございました。知名度ゼロ、組織もない私古謝玄太が、この4カ月間しっかり活動して、現職の背中にここまで迫ることのできたのは、ひとえに皆様のおかげです」と、関係者、支持者、家族に精一杯の感謝の気持ちを述べた。

 古謝氏は「心から感謝申し上げます」と深々と頭を下げると、支持者から「玄太またやるぞー!」との励ましを受け、約45秒の間拍手を浴び続けた末に、こらえきれなかった涙が溢れた。

 選対本部長を務めた中川京貴沖縄県議は「全ての責任は我々自民党県連にあると思っている」と語り、古謝氏をねぎらった。「あとひと月早ければ我々の思いは県民に伝わったと思う」と短期戦を悔やんだ。

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