「地球の歩き方」に沖縄編!沖縄ガイド本としては県内で異例の大ヒット中

 

 本編に突入してからの特集ページも渋いところを突いてきた。「栄町市場のグラフィティ」「名護市役所で建築ウォッチ」「まもる君とパーントゥに迫る」などなど。このように、通常の観光本には載っていないようなマニアックさを追求できているのは、編集に沖縄在住のスタッフが多く関わり、地元のコアな目線を大切にしているからだ。同社の福井由香里さんが「『一家に一冊』を目指した辞書型のガイドブックです」と話すほど、包括的な編集内容も大事なポイントだった。

 カバーデザインには首里城のイラストを採用。その思いは同書内で触れられ「2022年は沖縄の本土復帰50年。戦火にまみれ多大なる犠牲を払いながらも、立ち上がり復興した沖縄と首里城を思い重ねることができます。首里城の美しい姿が再び見られることを願い、正殿を表紙に」とのメッセージが添えられている。

沖縄県内書店「めちゃくちゃ売れています」

 旅行ガイドブックではあるものの、前述のように沖縄県民にとっても改めて地元について見つめ直すきっかけが散りばめられている。県内での売れ行きは好調で、読者アンケートで回答を得たうち、5分の1程度が沖縄からのものだったという。

 県内最大級の書店であるジュンク堂書店那覇店では、地球の歩き方「沖縄」編の特設売り場を複数個所で展開している。発売から約1カ月がすぎた15日時点で、週間の売れ筋ランキングで総合4位につけた。

 同店の森本浩平店長は「月に100冊のペースです。めちゃくちゃ売れています」と話す。沖縄をテーマにした他のガイドブックでは月に数冊程度だというから、「月100冊」はガイドブックとしては圧倒的だ。

 森本店長によると、沖縄県の場合、他府県と比べて地元のガイドブックは売上冊数が伸びない傾向にあるという。「沖縄の人にとっては、ガイドブックに書かれているような『外から見た沖縄』というものにこれまで関心が集まりにくかったのかもしれません。地球の歩き方『沖縄』編が、沖縄の人もガイドブック片手にあちこち回るきっかけをつくれるのでは」と期待を寄せる。

復帰50年「ことし沖縄編を出さなければ」

 国内版の創刊は、コロナ禍での海外旅行需要減少のタイミングと重なったため、その反動で国内旅行需要が高まったことを受けたものだとの印象も受けるが、もともとはそうではなく「東京オリンピック・パラリンピックを見据えたものでした」と福井さん。新型コロナが国内にまん延し始める1年ほど前の2019年春から計画は進行していた。

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