キムタツコラム④試験対策をしすぎて点が取れない人の特徴

 

 勉強にしても同じです。英検などのように出題される問題が事前にある程度わかっている場合、対策は有効になります。が、それで合格したからといって英語力が身についているかというと全くそんなことはありません。対策もなにもせずに検査を受けて合格したのであれば別ですけれども。

 「対策をどうすればいいですか」というご連絡をいただいた場合、昨年の問題に関してはこういう対策をしていればよかったと思いますが、それが来年にも通用するかはわからないですよという答え方をさせていただきます。それよりも、本当の英語力、どんな問題を出されても対応できる力、野球のバッターであれば初めて対戦する投手にも対応できる打撃力ですね、それを身につけることが大事なんじゃないでしょうかと返事をするのです。

短期間の対策の脆さ

 昨年の12月21日、南城市教育委員会からご依頼を受けましてね。小学校と中学校の英語科の先生方に向けて、英語力を高くする指導法について勉強会を開いてくれないかというご依頼でした。単語の覚え方やリスニングのトレーニング方法について、70分ほどでしたか、お話をさせていただきました。

 僕が話すことは対策ではありません。それに、音読を中心とした非常にタフな勉強法です。が、確実に力が付く勉強法です。南城市の先生方がたくさんお集まりになり、帰られるときには「今日は本当に来てよかった」と言ってくださいました。指導主事の先生が「第2回、第3回と続けてお願いしたい」とおっしゃいました。

 近々なにかしらの試験があるという場合、対策することは間違いではありません。合格をして自信をつけることも大切な教育です。その合格がきっかけで、もっと英語を勉強したい!と思う生徒が増えることも重要ですからね。しかし、指導者も学習者も覚えておかなければならないことは、短期間の対策をして身につけた力はすぐに剥がれてしまうということです。明日の小テストのために頭に放り込んだ知識なんて、そのテストが終わったらすぐに忘れてしまうでしょう。僕たちが身につけるべき力とは何か。それは、どんな投手がどんなボールを投げてきても確実に打ち返せる力なのです。

出題形式が変わっても点が取れるために

 中学受験にしても高校受験にしても同じことが言えます。対策をして合格しても、合格後にも通用するような「真の力」がなければ、結局は落ちこぼれてしまうことでしょう。特に英語の場合、いくら英検1級を取得したとしても、勉強を続けなければ日々力が落ちていきます。英検1級でTOEIC満点なのにあまり英語が話せない人が多いのはそのためです。対策が悪いとは言いませんが、対策だけではどんな場面でも使える英語力を持っているとは言えません。対策だけでは、出題形式を変えられるとまったく点数が取れないんです。どんなボールが来てもセンター前に弾き返せる力を養わないといけないのですね。

 現在は新型コロナウィルスが蔓延していますが、収束に向かえばまたいろんな学校や教育委員会からのご依頼に応えて、本当の力を身につけるためにはこういう勉強をしないといけないんだよという話をするために、沖縄のいろいろな場所を訪問させていただきます。やる気満々の先生方と生徒たちにお会いするのを、心から楽しみにしています。

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