「沖縄の監督たちからも指導を受けた」九州大会準優勝の大島高校野球部監督

 

「やらされる練習はしない」

――大高と言えば東京大をはじめ国立大、有名私大に合格者を送り出している奄美随一の進学校です。練習にも工夫があるのでは?

「一番大事なのは集中力なので、『一球一球に集中しなさい』とは常に言っています。それでも集中力は長くは続かず、せいぜい4時間程度なので一つの課題を与えて練習させています。

 それと『やらされる練習はしない』です。自分たちが勝ちたくてうまくなりたければ、自分たちで自発的にやると思うんです。その内発的な動機付けを大会前や要所要所で面談し、語り掛けています」

――箱根駅伝を制した青山学院大学の原晋監督が同様のことを言っていました。生徒をよく見ることと、生徒自身の自主性が大事なんですね。

「そうですか。ヒントや考える材料は与えて基本は教えても、それを身に着けていくのは生徒本人たちが練習していくしかないんです」

――選手のメンタルの強さが分かりました。雨天で迎えた九州大会準決勝の対有田工業戦では、最大5点のビハインドで、中断までリードを許す展開でした。ベンチではどのような声を掛けたんですか。

「ちょっと集中力が落ちて気が散漫になっていないか、もう少し集中するように言いました。それと、雨天の試合は(フォアボールやエラーなどで)点数が入りやすくなるので、雨天の5点は好天の2、3点差だから、慌てずに中盤から取っていけばどうにかなるんじゃないかと話しました。

 案の定、畳みかける時に相手のエラーなどが絡み中盤にビッグイニングを作ることができ、前半相手チームに流れていた流れを中盤以降こちらに手繰り寄せることができました」

大島高校グラウンド

沖縄のチームとの練習試合も計画

――奄美全体が盛り上がっていますね。

「はい、我々以上に盛り上がっています。ただ自分たちはワイワイ浮かれているわけじゃなく、甲子園に照準を合わせた練習を積み重ねています。ベスト8を長期的な目標に掲げながら練習を続けてきているので、まずは挑戦権を得られたと思っています。二つ勝てば8強なので、一戦必勝をめざして練習に取り組んでいます」

――大高と沖縄のチームが準決勝、決勝で対戦する日がそう遠くない将来、実現するかもしれませんね。

「前任校の時に興南の我喜屋先生はじめ沖縄水産の上原監督らには練習試合などで随分お世話になったし、ご指導も受けたんですよ。コロナでどうなるかは分かりませんが、沖縄のチームとの練習試合も計画しているんです」

――沖縄には多くの奄美出身者が暮らしています。沖縄から応援しています。今日はありがとうございました。

塗木哲哉(ぬるき てつや)鹿児島市出身。鶴丸高校から鹿児島大学を経て筑波大学大学院。鹿児島に戻り、鹿児島南高、頴娃高、志布志高の監督を歴任し大高は今年で8年を迎える。

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