衆院選終盤レポート<沖縄4区> 「全く読めない」激戦を制すのは

 

 いよいよ投開票日が明日に迫った衆院選挙。糸満市、豊見城市、南城市、南風原町、八重瀬町、与那原町の本島南部地域と、宮古島市、多良間村、石垣市、竹富町、与那国町の宮古・八重山の離島地域で構成される沖縄4区では、自由民主党で前職の西銘恒三郎氏(67)と、元那覇市議会議長で立憲民主党・新人の金城徹氏(68)のデッドヒートが繰り広げられている。

政策実行に自公連立の強みを強調

宮古島での総決起大会でスピーチする西銘恒三郎氏

「あと4日、投票箱の蓋が閉まるまで、横一線の戦いを制するのは徹底的に一人一人の投票を積み上げる以外に有りません」

 三日攻防に突入した10月28日朝、西銘氏が自身のツイッターに投稿した一文だ。この日は宮古島と与那国島入り。宮古島市で総決起大会を開き、投票を呼びかけた。会場には加藤勝信前官房長官も駆けつけ、応援スピーチを行った。本島では24日に南風原町で総決起大会に当たる「絆リレー演説会」を開いている。

 西銘氏は新型コロナウイルスの感染対策と並行して経済の立て直しを実行できるのは「自民党と公明党の連立政権でなければできない」と強調。沖縄担当相としての公務もこなしつつ、自公の支持層を手堅く固め、宮古島や石垣島にも頻繁に入って離島地域の票獲得にも奔走している。ただ、先の本人のツイートにある「横一線」という言葉への言及には、相対する新人・金城氏の猛追への警戒心もにじむ。

 西銘陣営関係者は「正直、危機感しかなくて今現在の情勢がどうなってるのか全く分からない状況だ」と緊迫した声色で話す。西銘氏が入閣したことで「これまでと違う支援者の顔も見えるようになった」が、一方でコロナもあって「今までは動いてくれてた人が見えなくなった面もある」という。「最終盤になっても全く状況が読めないが、(西銘氏)を勝たせるためにとにかく尽力するしかない」と語った。

「オール沖縄」議席獲得目指し猛追

総決起大会で街頭演説する金城徹氏

 金城氏は27日に南風原町の兼城交差点で開いた総決起大会で街頭に立ち、「保守の立場からオール沖縄の運動に参加したことを誇りに思っている」と述べ、オール沖縄の存在を強調した。

 交差点には「政権交代」の文字が印字された幟を持った支援者らが並び立ち、道行く車両や歩行者に手を振ってアピール。応援演説には玉城デニー知事も駆けつけた。

 金城氏の支持層は立民や共産が中心だ。長年保育の現場に携わった経験を生かし、待機児童や保育士の待遇など、保育や教育を巡る問題について現場感覚に基づいた訴えに力を入れ、浮動票の獲得も狙う。また、決起集会では南部の土砂を名護市辺野古の米軍基地建設に使用することについても触れ、「南部の土砂で辺野古を埋め立てるのはとんでもない話だ。本来であれば保守の立場から採取を止めるのが筋だ」と強調した。

 「4区は固い保守地盤で、かなりの苦戦を想定していたが、思った以上に手応えがある」と金城陣営関係者は語る。革新系のほか、無党派層や20~30代からの支持を得ているという。1~3区の自民候補者が苦戦していることに触れつつ、「追い上げているのは間違いないが、相手候補が現役の大臣ということもあるので全く油断はできない。何とか追いついて沖縄での“自民全敗”に漕ぎ着けたい」と話した。

「宮古票」の行方は?

 沖縄4区の有権者総数は286,648人。有権者数が4万人を超える市町村は豊見城市(48,275人)、糸満市(47,580人)、そして宮古島市(43,715人)の3箇所だ。2017年の前回衆院選では西銘氏が仲里利信氏に約6000票差をつけて勝利し、同年の選挙区で4区が唯一「オール沖縄」勢力を敗った。この時、西銘氏の勝利に大きく貢献したのが宮古島市での得票数だった。

 前回衆院選の宮古島市での得票数は西銘氏17,738票に対し、仲里氏が9,647票で約8000票の差をつけた。加えて市議選が同日投開票だったため、投票率が67.73%に上り、保守地盤である宮古票の獲得は選挙区での勝利に大きく貢献する形になった。

 しかし今回、衆院選投開票1週間前の10月24日行われた宮古島市議選では、金城氏を応援する座喜味一幸市長支持の与党が議席を倍増。今年1月に実施された市長選で、3期12年の間市政を取り仕切った下地敏彦氏が新人の座喜味氏に敗れた上、その後下地敏彦氏が収賄容疑で逮捕されるという衝撃的な事件もあり、宮古島市の政治構図が変動した。西銘氏が前回衆院選ほどの集票を見込むのは難しいとみられる。

 ただ、座喜味市長が元自民議員だったことや、市長選ではあくまで市政刷新のための“反・下地”という共通目的の元で保革共闘した背景を踏まえると、与党市議の票が全て金城氏に動くとは考えにくい。また、沖縄1区に出馬している無所属前職で宮古島市出身の下地幹郎氏の影もちらつく。宮古での影響力を持つ下地幹郎氏に対し、西銘氏が自民への復党反対の立場をとっていることが保守票にどう響くのかも気掛かりだ。

 これまでの実績と初入閣を追い風に西銘氏が6期目の当選を果たすのか、あるいは「政権交代」を掲げて猛追する金城氏が「オール沖縄」の議席を奪還するのか。激戦の結果は明日、決する。

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