「残り5秒」でヴィック・ローが劇的逆転弾!キングス、ミス多発も開幕4連勝
- 2023/10/15
- エンタメ・スポーツ
試合時間残り9.2秒、スコアは81ー82。舞台は東京の青山学院記念館。アウェーの琉球ゴールデンキングスがサンロッカーズ渋谷を1点追い掛ける状況で、キングスボールで試合が再開した。
中央でボールを持ったのは今シーズン加入したヴィック・ロー。右側にドライブを仕掛けると、フリースローライン付近でジャンプしてファウルを受けながらミドルシュートを放った。3,839人の観客の視線を一点に集め、弧を描いたボールがそのままゴールに吸い込まれると、会場に盛大な歓声とため息が渦巻いた。
ローがボーナスのフリースローを確実に沈め、84ー82と逆転。残り5.5秒、SR渋谷が放った再逆転を狙ったスリーポイントシュート(3P)が外れると、ほぼ同時に試合終了のブザーが響いた。
キングスは15日に行われたこの試合を勝利したことで、開幕からの連勝を「4」に伸ばした。所属する西地区はキングスの他に大阪エヴェッサ、長崎ヴェルカ、名古屋ダイヤモンドドルフィンズも4戦全勝となっており、早くも混戦模様となっている。
最後まで接戦 大補強のSR渋谷に苦戦
この日対戦したSR渋谷は今オフに大型補強を敢行したチームの一つだ。2017-18、18-19シーズンにアルバルク東京を2連覇に導いたルカ・パヴィチェヴィッチHCを筆頭に、今夏のFIBAワールドカップでパリ五輪出場を決めた日本代表で活躍した帰化選手のジョシュ・ホーキンソン、元日本代表の田中大貴らを獲得した。
そんな強敵に対し、第1Qは拮抗した展開で25ー25の同点で終えたが、第2Qは開始直後からミスが目立ち、一時12点までリードを広げられた。
ここで流れを変えたのはカール・タマヨだ。オフィシャルタイムアウト明けの攻撃でオフェンスリバウンドを奪い、ローのバスケットカウントワンスローにつなげる。さらに自ら3Pとドライブからのゴール下シュートを立て続けに成功。チームとして連続13得点を挙げ、試合を振り出しに戻した。
後半も一進一退の攻防となったが、第4Qはアレックス・カークや松脇圭志らの得点で徐々にキングスが抜け出す。残り1分4秒で岸本隆一が左45度から3Pを沈め、勝負所で差を5点に広げた。しかしSR渋谷も諦めない。じわじわ追い上げられると、1点リードの最終盤で岸本が痛恨のパスミスをしてしまい、9.2秒で逆転された。ここで冒頭の場面。最後はローが勝負強いシュートを決め、キングスが劇的な勝利を収めた。
個人スタッツはローがいずれもチームトップの22得点、9リバウンド、5アシストと際立った数字を記録。アレン・ダーラム、松脇、カークが同じ12得点で続いた。
ターオーバー「17」 シュート成功率は高く
勝利はしたものの、自分たちのミスで相手に攻撃権が移るターンオーバーはSR渋谷がわずか「2」だったのに対し、キングスは「17」に上った。最後の時間帯でリードを守り切る戦い方もできず、桶谷大HCは「前半ディフェンスのコミュニケーションがうまくいかなかった点や、オフェンスでもミスが多く、試合の締め方を含めて反省点が多くあります」と課題を口にした。
一方、ミスが多い中でもシュート成功率を高く維持したことが最大の勝因となった。2Pは61.8%、3Pは45.0%、フリースローに至っては100%で決め切り、いずれの確率もSR渋谷を上回った。それを念頭に、指揮官は「チームとしてはオフェンスで優位になる部分を見つけることができるようになってきているので、ターンオーバーを減らしながら効率の良いオフェンスを目指していきます」とさらなる改善を誓った。
殊勲の活躍を見せたローは「エキサイティングな試合展開の中、チームメイトが自分を信頼してくれて、最後に試合を決めるシュートを決め切ることができてうれしく思います。今日のように最後のシュートを任せてもらえるのであればシュートを打ちたいですし、シュート以外の部分を任されるのであればチームが勝つためのことを全力で遂行していきます」とコメントした。