「何がしたいんだよ!」開始早々にDF寺阪退場 FC琉球、ホームで0ー4の大敗

 
試合終了後、ピッチにしゃがみ込んでじっと動かないMF平松昇ら=8月26日、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアム(長嶺真輝撮影)
試合終了後、ピッチにしゃがみ込んでじっと動かないMF平松昇ら=8月26日、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアム(長嶺真輝撮影)

 サッカーJ3で15位のFC琉球は26日、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアムで19位のSC相模原と今季第24戦を行い、0ー4(前半0ー0、後半0ー4)で大敗した。試合開始からわずか7分でDF寺阪尚悟が退場し、試合展開は終始劣勢。終了後にはサポーターから「何がしたいんだよ!」などと怒号が響き、チームの現状に対する鬱憤が噴き出した。

 通算成績は8勝12敗4分の勝ち点28。順位は暫定17位に下がり、日本フットボールリーグ(JFL)に降格する可能性のあるボーダーラインの19位に位置する相模原との勝ち点差は「5」に縮まった。

1週間で3試合、疲労目立ち後半に相次ぎ失点

 冒頭で触れた場面。自陣でボールを受けた寺阪がトラップでボールを浮かせてしまい、コントロールを失って後方にそらす。一歩抜け出してゴールに向かおうとした相手に対し、体を預けるように倒れ込んでしまい、一発レッドカードで退場となった。

 それを受け、中盤で試合をコントロールするMF中野克哉を外し、DF牟田雄祐を入れて4ー4ー1の陣形を組んだ。その選択について、喜名哲裕監督は「中野はずっと連戦で出ていたので、トレーニング中も少なからず疲労感がありました。そこを配慮して、中野(の交代)を選択しました」と説明した。

中盤でボールをコントロールする平松
中盤でボールをコントロールする平松

 ボランチのMF平松昇が「真ん中を固め、クロスをしっかり中で跳ね返して我慢することを共有しました」と振り返る通り、守りを固め、カウンター狙いに転じた。前半はうまく機能し、無失点に抑えながら度々相手ゴールにも迫った。

 しかし、台風6号の影響で中止になったアウェー戦の代替試合が3日前に行われ、この1週間で3試合目となった琉球。厳しいコンディションの中、追い討ちを掛けるように10人での戦いを強いられたことで体力が削られ、後半開始早々にアーリークロスから頭で合わされて先制点を許した。6分後にもコーナーキックから失点。雪崩を打つように後半30分、終了間際の49分にもゴールを割られ、大敗した。

平松「ボランチから発信できず責任感じた」

試合後、選手たちを労う喜名哲裕監督(右)
試合後、選手たちを労う喜名哲裕監督(右)

 2試合前はアウェーで5試合ぶりに白星を挙げたが、前節は2ー0とリードしながら後半に1点を奪われ、さらにアディショナルタイムに追い付かれて引き分け。ふがいない試合が続き、相模原戦の後にはサポーター席から「何がしたいんだよ!」「応援できないよ!」などと怒号が飛んだ。口をつぐんだまま、重い足取りでロッカーに戻る選手たちに対し、喜名監督は一人ずつ手を合わせたり肩を叩いたりして労っていた。

 記者会見の冒頭、「ホームで残念な試合をしたことに対し、まずファンの方々に謝りたいです。本当に申し訳ありませんでした」と神妙な表情で語った喜名監督。ハーフタイムで「勝ち点3を取りに行くぞ」と伝えたというが、「後半開始早々に失点し、全体的にバタついた。最後の粘り、ゴール前での踏ん張りが足りてないということがこの結果に繋がってると思うので、しっかり分析し、状況を把握しながら次に向けて頑張っていきたいです」と前を向いた。

 試合終了のホイッスルと同時にピッチ上にしゃがみ込み、しばらく動くことができなかったボランチの平松は「チームを勝たせる存在になりたいと強く思ってるけど、それが結果に結び付かない。ボランチから発信できなかったのと、いい流れに持っていけなかったことを痛感し、試合中から責任を感じていました」と振り返る。

 厳しい試合日程については「コンディションを含めて難しいところはあったと思うけど、試合になったら関係ない」と言い訳はしない。残留争いに身を置く中、「目の前の1試合1試合に目を向けることはもちろんですが、ゴールに繋がるプレーが少ない中で何を改善するのかを具体的に追及しなきゃいけない。ピッチで体現し、サポーターの皆さんと一緒に喜び合いたいです」と改善を誓った。


長嶺 真輝

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ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。
2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。
Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。

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