【那覇市長選】翁長雄治氏が出馬決意 県議補選に上原快佐氏を擁立
- 2022/8/25
- 政治
10月23日投開票の那覇市長選に向け、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に反対する「オール沖縄」勢力の選考委員会から出馬要請を受けた前県議会議員の翁長雄治氏(35)が8月24日、那覇市の八汐荘で会見を開き、要請の受諾を決めたことを発表した。出馬を決意した理由については「那覇市の未来、沖縄県の未来を考え、しっかりと自分の仕事を果たしていきたい、皆さんの期待に応えていきたいという思いです」と説明した。22日には県議会事務局に辞職願を提出したという。前那覇市長、前県知事である故・翁長雄志氏の次男。
また、翁長氏が県議を辞職したことに伴い、県知事選の投開票と同日の9月11日に行われる県議会議員補欠選挙には、那覇市議の上原快佐氏(42)がオール沖縄勢力から出馬することも発表した。
一丁目一番地は子ども政策
翁長氏は今度詳細な政策は詰めていくとしたが、一丁目一番地に掲げる政策には、5年間の市議、県議を通して重点的に取り組んできたという「子ども政策」を掲げた。「子どもたちの政策にしっかりと財源を充てていくことで、若い世代に稼ぐ力を付けてもらう。高齢者福祉まで、循環のある街づくりをしていくことが重要だと思っています」と展望した。
自身の強みについては「オール沖縄という様々な政党が入り乱れる中で、皆の意見をまとめ、妥結点を探してくという部分では一定の力があると思っています」と調整能力を強調。35歳という若さにも触れ、「城間市政が行ってきたことを継承しながら、子育てをしている世代の代表として私のカラーをしっかり出していければなと考えています」と述べた。
一方、今回の市長選では自民党県連が副市長の知念覚氏(58)を擁立することを決定し、オール沖縄の立場である城間幹子市長がどの候補を応援するか態度を表明していないことを受け、「城間市長を役所の中だけでなく、政治活動も支えてきたのは我々オール沖縄側であると考えています。ぜひ城間市長には私と一緒に選挙戦を戦っていただければなという思いです」と支援を求めた。
「辺野古移設も争点」
自身の考える市長選の争点については、城間市政の8年間に対する評価や、コロナ禍で傾いた市民生活の立て直し、子ども政策などを挙げた。
普天間飛行場の辺野古移設についても「普天間に所属するヘリコプターなどから発生する騒音は那覇市でも起きています。基地の存在により発生する事件事故は那覇市と全く関係がないかというと、そうではない。私たちに何の協議も無しにオスプレイが那覇軍港を使うなど、そういったことを正していくことは非常に重要なことだと思います」として、一つの争点になるとの認識を示した。
父・雄志氏の街づくりにシンパシー
2018年に亡くなった前県知事の父・雄志氏は、2000~2014年の4期目途中まで那覇市長を務めた。
自身が中学1年の時に父が初めて那覇市長に当選したという翁長氏は「父は行政サービスの向上やゴミ問題の解決など、市民としっかり対話をし、負担がかかるかもしれない部分も包み隠さず説明をしながら同意を取り付けてきた。市民と一緒に街づくりをしていたことに非常にシンパシーを感じています」と尊敬の念を示した。
雄志氏が辺野古移設問題のほか、子どもの貧困問題にも傾注していたとして「その政策については、父のものを参考にし、目指しています」と語った。
上原氏 県議会与党の過半数確保に責任感
県議補選に出馬する上原氏は、翁長氏が指名し、8月23日にオール沖縄の県政与党でつくる調整会議で擁立が決まった。市議を9年間務めてきた上原氏は、出馬を決めた理由を「県政の大きな課題をしっかりと受け止め、那覇市のためにも全力で取り組んでいきたい」と説明し、「雄治さんが市長になると信じていますので、県都の市長と連携しながら、県、そして那覇市の課題を解決していきたいです」と意欲を見せた。
翁長氏の県議辞職に伴い、県議会与党が過半数に届かない状態になることを念頭に「玉城知事と共に県政運営を前に進めていくためには、過半数の与党議席が絶対条件だと思っておりますので、非常に大きな責任を感じています」と表情を引き締めた。
翁長雄治(おなが・たけはる)
1987年7月6日生まれ。那覇市出身。興南高校、国際武道大学卒。2010年から民間企業に勤務し、17年に那覇市議に初当選。20年に県議選に出馬して初当選し、1期目途中で辞職した。
上原快佐(うえはら・かいざ)
1980年2月29日生まれ。那覇市出身。小禄高校、大原簿記専門学校、明治大学卒。大学進学前には総合食品商社に勤めた。2013年に那覇市議に初当選し、現在3期目。沖縄社会大衆党副書記長。