【参院選】沖縄県出身の比例候補3氏 各地で熱い訴え 

 
比例代表に立候補した(左から)今井絵理子氏、上里清美氏、宮城一郎氏=いずれも沖縄本島内

 7月10日投開票の第26回参議院議員通常選挙では、比例代表に立候補した沖縄県出身者も各地で精力的に選挙運動を展開している。自民現職の今井絵理子氏(38)、共産新人で同党宮古郡委員の上里清美氏(66)、社民新人で同党県連幹事長の宮城一郎氏(55)の3氏の訴えをまとめた。

「子どもたちの未来のために」今井氏

手話を交えて主張を訴える今井氏

 今月1日に沖縄入りし、2日まで本島各地で街頭演説を行った今井氏。そのうち、浦添市内の商業施設前で行った演説では、沖縄の課題について子どもの貧困対策を中心に訴えた。「国は子どもの貧困問題に対して、沖縄だけで年間約15億円の予算を付けています。子どもたちの居場所づくり、支援員の確保、子ども食堂など、あらゆるところに予算を出して、子どもたちの未来のため、経済的に困らないようにするために、きちんと教育を受けていただく」と訴え、政府の取り組みの強化·継続を目指す。

 沖縄県民1人当たりの所得向上について「産業構造をブラッシュアップしていく。高付加価値な産業を沖縄にしっかりとつくっていきたい」と述べた。

 さらに、福祉課題を制度から解決するべく政治家を志したという今井氏は、1期目6年間の実績をアピール。聴覚や発話に困難のある人が手話通訳や文字通訳を介して電話を利用できる「電話リレーサービス法」や、特別支援学校教科書の約30年ぶりの改訂の実現などにも触れた。

いまい·えりこ 1983年9月22日生まれ。那覇市出身。96年にダンスグループ「SPEED」で歌手デビュー。2016年参院選で自民から比例代表に出馬し、初当選。

「南西諸島の軍事要塞化をストップ」上里氏

手を振りながら主張を訴える上里氏

 自衛隊の配備強化が進む宮古·八重山地方。宮古島市出身の上里氏は、自衛隊の「南西シフト」に反対する声を上げている。3日に八重瀬町内で行った演説で「宮古島800人、石垣島600人、与那国島200人の部隊がそれぞれ配備されています。これまで見たこともなかったような迷彩の装甲車やミサイル車両が島を走り回っています」と、軍事配備が進んでいる様子を説明。「戦後77年間、島には軍事的なものはありませんでした。中国脅威論をあおりにあおって、島々に基地を造っています」と現政権を批判した。

 さらに、有事の際に住民·観光客計約6万人を島外に避難させることが盛り込まれた「国民保護計画」に言及し「実際に紛争が始まった時には、こんなに大勢の人々はどこに逃げて、どうやって暮らせばいいのでしょうか」と疑問を呈した。

 「台湾有事を口実に戦争が始まれば、沖縄本島も含めて島々が捨て石になることを恐れています。南西諸島の軍事要塞化をストップさせる。離島の声を届けたいと思っています」と訴えた。

うえざと·きよみ 1955年12月24日生まれ。宮古島市出身。みやこ9条の会事務局長などを務める。2010年の参院選にも共産から比例代表で立候補した。

「武器を持たないという強さを」宮城氏

真剣な表情で主張を訴える宮城氏

 宮城氏が最も力を入れている主張は「非武装」だ。6月30日に読谷村内で行った遊説では、ロシアによるウクライナ侵攻について「武器を強化していったがゆえに起こってしまった戦争だ」と指摘。その上で「武器を持たないことを私たちの強さにしたい。これこそが、終戦から77年が経った今、私たちがしっかりと胸に刻まないといけないことだと思います」と切実に語った。

 岸田文雄首相が意欲を見せる憲法改正において、緊急事態条項の新設や憲法9条への自衛隊の明記などが含まれていることを念頭に「この参院選で憲法改正を目論む自民党政治に信託を与えるというこというは、基地の最前線に愛する人たち、あるいは自分自身を送り出してもいいですよ、という契約を結ぶことに他なりません」と強く批判した。

 「私は断固としてそんな契約を結びません。家族にも結ばせません。その契約を拒否するという仕事の先頭に立たせてほしい」と訴え、支持を求めた。

みやぎ·いちろう 1967年5月25日生まれ。宜野湾市出身。2016年の県議選宜野湾市区に社民から立候補し、初当選。20年の県議選では落選した。


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