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世界初の繁殖に成功 天然記念物含む2種 沖縄美ら海水族館が展示
- 2022/4/30
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沖縄美ら海水族館(本部町)が、沖縄県の天然記念物に指定されている「クロイワトカゲモドキ」と、カクレクマノミが共生することで知られる「ハタゴイソギンチャク」の繁殖に世界で初めて成功した。4月29日からそれぞれの繁殖個体の展示を始めている。
希少種のクロイワトカゲモドキ 環境開発などで減少
クロイワトカゲモドキは、国内では沖縄本島とその周辺のみに生息する原始的な地表性ヤモリの仲間。沖縄周辺諸島に5亜種、鹿児島県に近縁種が生息している。
民家の石垣や生垣を隠れ家とし、以前は非常に身近な生き物だったが、環境開発や違法採集、外来種の脅威などによって生息数が減少している。現在は沖縄県の天然記念物・国内希少野生動植物種など様々な法律で保護されている。
美ら海水族館が繁殖の研究を始めたのは2019年度。夜行性で警戒心が強く、観察が困難なことから、これまで繁殖に関する知見はほとんど得られていなかったという。
孵化したのは2021年10月26日の午後3時ごろ。2匹が生まれ、孵化時の全長は約7.5センチ、体重は約1グラム。2022年4月現在では、全長約12.2センチ、体重約6グラムに成長している。水族館1階にある「琉球弧の水辺」コーナーに展示されている。
環境省の「希少種保全動植物園等」に認定
今回の繁殖で得られた学術的データは科学雑誌への報告を予定している。また、美ら海水族館はクロイワトカゲモドキを含む希少種保全の実績が認められ、4月11日付けで沖縄県内で初となる「認定希少種保全動植物園等」制度における環境省の「希少種保全動植物園等」に認定された。
美ら海水族館は「引き続き本亜種の飼育や研究を通して生態の解明に寄与し、沖縄県内に生息する希少種の保全や啓発活動を続けていきたいと考えております」とコメントした。
独自の雌雄判別法を確立 ハタゴイソギンチャク
ハタゴイソギンチャクは直径が50センチに達する大型のイソギンチャク。インド洋から西太平洋のサンゴ礁域に広く分布し、日本では奄美諸島以南に生息する。体内に褐虫藻と呼ばれる植物プランクトンを持ち、光合成によって作られた養分を吸収している。多数の触手が体の上面を覆い尽くし、観賞用としても人気がある。
これまで性別の識別が困難なことなどを理由に繁殖技術は確立されていなかったが、美ら海水族館は独自の雌雄判別法を確立。2020年と21年に産卵を確認した。その際に得られた卵を育成し、子どもの段階である「稚イソギンチャク」にまで成長させることに成功した。
展示場所は個水槽「サンゴ礁の小さな生き物」。カクレクマノミと共に展示している。
美ら海水族館は「本種は乱獲による個体数減少が危惧されていることから、今回の繁殖技術が保全にも貢献すると期待されます」としている。
ハタゴイソギンチャクの神秘的な放卵放精の映像は、水族館の公式ユーチューブで見ることができる。