沖縄初のEV路線バス運行 公共交通が低炭素社会促進に尽力

 
沖縄初となるEV路線バス

 電気を動力とするEVバスが、沖縄県内で初めて運行する。4月18日から那覇市内の路線で走り始めるのを前に、那覇市泉崎の那覇バスターミナルで出発式が開かれた。セレモニーの参加者からは、公共交通として低炭素社会を促進する意気込みが述べられた。

1回の充電で230km走行可能

 EVバスを路線で運行するのは、第一交通産業(福岡県)のグループ企業である那覇バス。今回導入される2台は通常の路線バスよりひと回り小さい、縦の長さ約7m、幅2.1m、定員29人の車両だ。

 航空機にも採用されている軽くて丈夫なコンポジット素材を使用したことで、EV車の課題でもある長距離走行による消費電力も抑えた。1回3時間弱の充電で230kmの走行が可能となり、コストも深夜電力使用で1500円ほどとなる。

低炭素社会に向けた公共交通の役割

 国は昨年、地球温暖化対策として2030年度に温室効果ガス46%削減(13年度比)を目指すことを踏まえた計画を策定している。低炭素社会の促進は企業活動においても避けては通れない問題だ。

テープカットに臨む第一交通産業の田中亮一郎社長(左から4人目)ら

 EVバス出発式で挨拶した第一交通産業の田中亮一郎社長は「沖縄のEV化、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出ゼロ)化を進めていく中で、その一社になれたらということで頑張っているところです。(EVバス運行を)ビジネスとして成り立たせるためにメンテナンス面も充実させていく」と決意を語った。

 現在、那覇バスの充電ステーションは南風原町の新川営業所のみだが、今後EVバスの台数をさらに増やしていく方針のため、それに合わせて充電拠点も増設する予定だ。

揺れや騒音の少ないバス

 国や県、那覇市の関係者も出席したこの日は試乗会も行われ、参加者はディーゼルバスなどのエンジンに比べてエネルギー効率が高く、加速の際の揺れや騒音が少ない走行を体感した。車内の座席そばにはUSBのソケットが装備されていて、乗客は携帯電話などを充電することができ、利便性も高い。

車体にはEVバスをアピールするロゴや首里城が描かれている

 第一交通産業では来年3月までに全国でEVバスやタクシーを約100台導入する計画を立てている。性能を確認した上で全国の提携タクシー会社にも働き掛け、公共交通の業界全体でEV導入の機運を盛り上げていきたいとしている。コストや充電時間などの課題はクリアが可能であることを目に見える形にアピールしていくことも、重要なミッションとなる。

 那覇の街を走る2台のEVバスは、系統10番の牧志新都心線と12番の国場線で、これまで使用されているバスにまじって運行される予定だ。普段からこの路線を使っている人はもちろんだが、それ以外の人もこの機会にEVバスを体感してみるのも一興かもしれない。


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