台湾新政権、外交方針は「現状維持」 台北駐日経済文化代表處那霸分處・王瑞豊処長(上) 

 
インタビューに答える王瑞豊処長=2日、那覇市

台湾では、20日に頼清徳氏が総統に就任し、新政権が発足する。台北駐日経済文化代表處 那霸分處の王瑞豊処長に、新政権の外交方針などを聞いた。

- 新政権の外交方針は、どのようになると思いますか?

 基本的には、これまでの蔡英文総統の路線を継承すると思う。アメリカ、日本、英国、オーストラリアなど友好国との関係を強化する。中国には対話を求めるが、条件が付いていないことが前提となる。

 台湾が最も重視しているのは米国で、日本との関係も大切に思っている。日本は台湾に一番近く、国民の感情も良い。

 また、台湾は半導体を一つのけん引役として各国と経済的にも連携したいと考えている。国際組織への参加も目指している。WHO(世界保健機関)をはじめ、ほかの国連機関にもオブザーバーとして参加していきたい。

― 中国との関係について、台湾での主流の考え方は「現状維持」ですか?

 最近の世論調査でも、8割以上が「現状維持」だ。「現状維持→将来は独立」「現状維持→将来は統一」「永遠の現状維持」など、選択肢の中身は違うかもしれないが、当面については「現状維持」が圧倒的な大多数だ。

― 中国は最近、強硬な「戦狼外交」を控えているようにも見えます

 中国は、経済状況が悪化して外部の資本を誘致したいと考えていると思う。軍の汚職も発生している。戦狼外交を続けていては、外部の資本は中国に投資しない。今後の中国は、戦狼外交から微笑外交に転換するのではないか。

 もちろん、「台湾独立」「台湾との国交樹立」など、中国にとってのレッドラインを超えそうになれば強硬な姿勢になると思うが、それ以外では次第に戦狼外交は収まっていくと思う。

― 一方、日本と中国は「戦略的互恵関係」を確認しています

 日本と中国は隣人なので、相互にとって重要な国だ。しかし、実際には国民感情が悪く、福島第1原発の処理水、釣魚台(台湾も領有権を主張している尖閣諸島(石垣市登野城))、靖国神社などの問題もある。

 ただ、日中間で紛争が起きれば台湾にも影響が出るし、台湾と中国で紛争となれば日本も困る。地域で協力していくことができれば理想だとは思う。

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