「僕自身も新しい何かに挑戦したい」FC琉球・金鍾成監督の一問一答

 

「関わる選手を重要視した補強」

トレーニングに汗を流す選手たち

ーーー120%の補強という言葉が出たが、どのあたりを評価しているのか。

 「自分の力を引き出してもらうためにまわりと関わる、まわりの力を引き出すために関わる、という選手が獲得できました。関わり合うことで『1+1=2』ではなく、3にも4にも5にもなる可能性がある。そこを重要視した補強です」

ーーー増谷幸祐と鈴木順也は自身が率いた鳥取から加入した選手。彼らの特徴は。

 「守備では1対1でしっかり対応でき、攻撃に関してはボールを持てる選手です。後ろでしっかりボールを持ってくれると、あまり前の方で受けに来なくて済む。後ろでボールを動かして作ることで、前の選手は相手の嫌な所で待てる。そういう形を作っていきたいです」

ーーー去年はよく平松昇が下がってボールを受けていた。

 「状況によってはそういう形もあるけど、理想としてはそこに落ちない方がいい。平松もゴール前まで行ってシュートを打てる選手なので。できるだけ後ろで落ち着けば、中盤から前の選手に運べる。去年で言うと阿部拓馬が下りざるを得ない状況があった。ああいう形は思わしくない。より前に人をかけれるような感じが理想だと思っています」

「『がむしゃらに来るな』と思われるチームに」

ーーー昨シーズンの課題はどこで感じていたか。

 「できるだけ前に人数をかけたいという攻撃の形はありますし、守備にしてももう少し行くとこで行かないといけない。ボールに行くときの全体のパワーも大事。1試合のゲームを通して、うまくいかない時は当たり前のようにあるけど、その時に負け試合を引き分けに持っていくとか、引き分けの試合を勝ちに持っていくとか、勝ち試合を完全に物にするというゲームをしないと優勝は難しい。勝てるチームを作るためには、やっぱりマインドも重要になってくると思います」

ーーー昨季の最終戦で「トレーニングは2倍、3倍しないと」と言っていた。

 「そうですね。ただそれは時間だけでなく、意識も含めてどういうふうにトレーニングに挑むのかが大事です。いかにトレーニングの密度を上げていくか。練習を組む側と選手が一体にならないといけない。選手たちに『必要だな』『やらなきゃいけないんだな』と思わせる作業からですね」

ーーー29名中20人が25歳以下。若返りは意図したものか。

 「いや、そうではないですね。自分がいけると思った選手に声を掛けた結果です。日本は年の事を言いがちですけど、あんまり気にしてないですね」

ーーー自身はチームをJ3優勝、J2昇格に導いたことがある。優勝のために必要なことは何か。

 「(あの時の経験は)全く参考にならないです。選手が違うし、まわりも違う。だからこそやり続けるしかない。勝ち方なんて誰も知らないので。負ける時もあるけど、そういう時に選手も含めてどう気持ちが弱くならないように自分を奮い立たせるか。選手たちと一緒に厳しいところを乗り越えた時、最後にチームがいいゴールを切れると思っています」

ーーー向かっていく姿勢を求めるということか。

 「そうですね。猪突猛進みたいな。もうまわりは何も見えない、もうそこしか見えないという。相手から見て『琉球は向かってくるな』『がむしゃらに来るな』って思われるチームであるべき。常にチャレンジャーですね。自分たちのサッカーとか、自分に対する挑戦。僕自身も新しい何かに挑戦していかなければいけないと思っています」

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長嶺 真輝

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ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。
2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。
Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。

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