ボリビアのオキナワ第一日ボ校に教員派遣再開 高原小の稲嶺教諭
- 2022/10/18
- 国際
現職教員をボリビアの沖縄県系人移住地「コロニア・オキナワ」に派遣する国際協力機構(JICA)の事業がコロナ禍で中断していた中、2年ぶりに再開した。沖縄市立高原小学校教諭の稲嶺萌恵さん(38)がこのほど、青年海外協力隊員として2年間、同地にあるオキナワ第一日ボ学校に着任した。
日本語指導や沖縄文化の継承など
稲嶺さんは沖縄市出身。立命館大学国際関係学部卒業後、明星大学の通信課程で小学校教諭の免許を取得したあと、宜野湾市、竹富町の小学校での勤務を経て、現在は沖縄市立高原小学校に所属している。「10年間の教員経験を活かして、学生時代からの夢である国際協力に携わりたい」と今回のボリビア派遣事業に応募した。
稲嶺先生の任期は、2022年8月24日から2024年3月20日まで。同校で日本語指導と道徳指導、沖縄文化の継承のほか、放課後のクラブ活動や学校行事の支援、教職員や保護者に向けた研修会の実施に取り組んでいく。
ボリビアと沖縄をつなぐ架け橋に
稲嶺さんが派遣されたコロニア・オキナワの「オキナワ第一日ボ学校」は1987年に設立された。現在の児童・生徒数は約100名。小中高の一貫教育を行なっており、沖縄県系人や日本語を学びたいボリビア人が通っている。
授業は他校とは一味違い、午前はスペイン語で、午後は日本語で授業が行われている。さらに、沖縄の伝統文化である三線やエイサー、日本の常識や文化が学べるのも同校の特徴だ。
稲嶺さんは「児童生徒の関心を高め、日本語や日本文化を楽しく学べる授業を実践したい」と抱負を述べ、学校行事については「沖縄の歌や踊りを児童生徒と共に楽しみたい。そして、インターネットを通してボリビアの文化やオキナワの歴史を沖縄の子どもたちへ伝えたい」と語った。
<JICA海外協力隊「現職教員特別参加制度」>
沖縄県教育委員会はコロニア・オキナワの学校へ現役の教師を派遣する「派遣教員制度」を1986年度から実施していたが、2012年度に廃止が決定。しかし、教育や文化の伝承における派遣教師の重要性を訴えるコロニア・オキナワの住民の声を受け、JICAと沖縄県教育委員会が合意を結び、青年海外協力隊として現職教員を派遣する新たな制度が2015年度から始まった。コロナ禍で2020年度以降は中止となっていたが、2年ぶりに派遣が再開された。