「言われてやるのではなく、自分からやる」伊平屋村の名嘉律夫村長に聞く(下)
- 2021/12/22
- 政治
――修羅場をくぐり抜けてきたんですね。35歳で本土からUターンされたそうですが。
「工事に目途が立ったのがちょうど35歳の時だったので、それを過ぎると潰しが利かなくなるので、パワーがあるうちに帰ろうと思ってUターンを決意しました。一つの仕事で認められるようになるまでには10年かかるので、45歳なら潰しが利くかなと思いました。
同じ仕事・同じ生活よりも、どこかで変化を付けたいというのもありました。Uターン当時は我喜屋ダムが建設中で、本土での経験が生かされました。周りも同年代が多かったので、何の違和感もなく一緒にやれました。
仕事も休んだという記憶がないんです。親父が農業をやっていたので、休日は手伝っていました。何かやっている方が楽しくて、人間らしいかなと思います」
――当初はギャップもあったのでは?
「こんな平穏なところはどこにもないです。20年本土にいると、気性がそこの人になるんですね。島にいると時間が止まったような錯覚に襲われたものです。それに馴染めるかと言ったら……。自分の気持ちは変えることはできないので、人間らしく田舎で何かやれればいいなと思っただけなんです」
――民間で培われた現場感覚を村政に期待します。
「『これをやりなさい』と言われてやるのではなく、自分からやってみる。提案をしてこなければ前には進まないです。与えられる前に自分たちで提案する。そういう発想で仕事をしていかないと時代に取り残されてしまいます」
――今日は長い時間ありがとうございました。
***
プロフィル 名嘉律夫(なか・りつお)1961年11月14日生まれ。工学院大学専門学校卒。神奈川県の企業で土木施工管理に携わり、1996年Uターン。2002年に村議初当選し、5期目途中の7月に村長選出馬のため辞職した。