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沖縄の学力②沖縄から今改めて問う、全国学力テストの意義
- 2021/12/17
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この理由では、いささか心もとないと言わざるを得ません。都道府県は広いと言えども、都道府県別の結果=順位が公表されることによる弊害は小さくないと認めるべきだし、都道府県独自の学力調査の結果公表と国による都道府県別の結果公表とは、競争を生むという観点で考えると趣旨がずれています。都道府県に人事権や予算を持つ責任がある、国としての説明責任があるというのも、理由として少し論理が飛躍しており、多くの批判に耐えうる説明とは言い難いでしょう。
沖縄の目指すべき道は、最下位脱出なのか?
疑問の多い全国学力テストとはいえ、単に全否定するだけでは無益ですし、県単位で実施を拒否することは現実的ではないでしょう。そうであれば、沖縄の学校や教育委員会は、毎年どのようにこのテストに向き合うべきでしょうか。現状のまま努力を続けるといった消極姿勢でもよいのでしょうか。かといって、最下位脱出!と一部のリーダーが声高に叫んだところで、学校の疲弊は深刻さを増すばかりで、真の学力向上として結実するには程遠いでしょう。
沖縄が自ら創り上げる「学力テスト」の可能性
学力調査を行う意義について、今改めて根本的に問い直さなければなりません。これには、「学力」とは何かという、さらに根本的な問いに挑戦する苦労を避けては通れません。とても時間と労力のかかる作業です。しかし、教育行政の制度論から考えれば、国と地方自治体は対等な関係にあり、国が示す基本方針としての学習指導要領を土台に、地方が特色を生かした独自の教育を展開していくことはむしろ推進されるべき姿勢です。学力が低いと言われ苦しんできた沖縄だからこそ、これまでの地道な努力が貴重な知見として蓄積されてきたはずです。学力調査のあるべき姿、「学力」とは何か。こうした本質的な問いに対し、沖縄こそ広く活発な議論ができる土壌だと言えるのではないでしょうか。
幸い、沖縄県教委は国の全国学力テストとは別に、県独自の学力テストを毎年実施しています(年度初めに行う全国学力テストとは異なり、冬にテストを行い年度末までに分析することで新年度の学習指導に生かすという趣旨で実施)。同じようなテストを年に何度も実施するのではなく、県独自の学力テストでは、これからの時代に求められる資質・能力にこれまで以上にフォーカスした内容に進化させることで、新たな「学力テスト」の可能性が拓けるのではないでしょうか。