「ぶっ倒れるまで走る」野田主将が示した”戦う姿勢” FC琉球、1カ月半ぶりの勝利
- 2023/6/4
- エンタメ・スポーツ
約1カ月半に渡って白星から遠ざかっていたサッカーJ3のFC琉球。3日午後、タピック県総ひやごんスタジアムで9位のアスルクラロ沼津(静岡県)と対戦した今季第12戦のキックオフ前、主将のFW野田隆之介が円陣でチームに“戦う姿勢”を注入した。
「今日はぶっ倒れるまで走るんで。頑張ろう」
その覚悟に呼応した選手たち。90分間攻守に足を止めず、3ー0(前半3ー0、後半0ー0)で快勝。4月15日に同スタジアムであったギラヴァンツ北九州戦以来、5試合ぶりの勝利となり、今季ホーム戦最多となる4,339人の観衆が詰め掛けたスタジアムを沸かせた。
通算成績は4勝6敗2分けの勝ち点14。18位から暫定15位に順位を上げた。まだ厳しい位置にいることに変わりはないが、サポーターに浮上への期待感を抱かせるには十分な内容だった。
14分間の猛攻 野田、白井が立て続けに3得点
台風2号の接近で数日前は開催が危ぶまれたが、一転、快晴の下で行われた一戦。琉球は試合開始から持ち味のパス回しで相手ゴールに迫り、度々際どいシュートを放った。攻撃的な沼津も負けじとスムーズなパス回しでうまくサイドを使い、チャンスをつくる。両チームともゴールまであと一歩という状況が続く中、先に均衡を破ったのは琉球だった。
前半32分、ハーフラインから若干敵陣に入ったピッチ中央で、GKダニー・カルバハルからのロングスローを胸トラップで受けた野田。すぐに反転し、右足でワンタッチして視線を上げた。「キーパーが前に出てたから、打ってみようと思った」。センターサークル付近で迷わず右足を振り抜き、相手GKの頭上を超える約40mの“超”ロングシュートでネットを揺らした。
これで流れを引き寄せた琉球。2試合連続の先発出場となったMF白井陽斗もセンセーショナルなゴールで続く。3分後、自陣のペナルティエリア内でボールを奪い、ドリブルを開始。大きく前へ蹴り出し、持ち前の俊足で自らボールに追い付くと、速度を緩めずに左足、右足の順にシンプルなタッチで2人を交わす。最後は「コースが見えた」と右足でゴール左隅に流し込んだ。約80メートルをわずか6タッチで駆け抜ける圧巻の単独カウンターだった。
さらに前半アディショナルタイムにもMF武沢一翔からの浮き玉に反応した野田が今度は頭でゴールに突き刺し、わずか14分間で3点を奪った。
快活さ増した子どもの声援
大量リードで前半を折り返したものの、ハーフタイムに「もう1回締めていこう」とネジを巻き直した。前半から続けていたツートップによる前線からのプレッシャーを維持し、相手のパスコースを限定。中盤やディフェンスの最終ラインも球際の強さを示した。全体が連動性を持った守りを見せたことに加え、カルバハルも随所で好セーブを披露し、2試合連続の無失点で勝ち切った。
センターバックの一角を担うDF森侑里は「しっかり前線から味方が相手のボールを追ってくれたので、あとは最後に守るだけでした。まだ(守りに)明確な手応えはないですが、センターバックで組んでる牟田(雄祐)さん、ダニーとも話して、失点ゼロを意識しています。勝ち点3を取れたことは大きいです」と語り、久しぶりの勝利を噛み締めた。
前半で早くも優位に立ったこともあり、勝利に飢えたサポーターの「FC琉球」コールはいつも以上に大きく、特に子どもたちの声は快活さを増した。その声援が「めちゃめちゃ聞こえました」と言う森は、笑みを浮かべながら「途中、(今シーズン最多となった)入場者数のアナウンスも聞こえて、嬉しかったです。試合後もサポーターの皆さんの喜んでる顔を見て、勝ててよかったなと思います」と振り返った。