8万枚超の写真データで首里城を3D再現 ハワイでシンポジウム

 
ハワイ大学マノア校イミン国際カンファレンスセンターにて講演する川上氏(写真提供=河原由貴)

 首里城焼失から3年を前にした10月23日、在ホノルル日本国総領事館とハワイ大学マノア校沖縄研究センターは、首里城を写した大量の写真を基にコンピューター上で三次元の首里城を再現する「Our Shurijo みんなの首里城デジタル復元プロジェクト」に関するシンポジウムをハワイ大学マノア校で開催した。ハワイ沖縄連合会やWUBハワイ支部の関係者など125名が参加した。

1年間で首里城の写真8万5000枚集まる

 「Our Shurijo みんなの首里城デジタル復元プロジェクト」は、世界中の協力者から大量の首里城の写真を集めて実現させるもの。開始当初はわずか50枚の写真データしかなかったものの、約1年の間に、35の国と地域の約3000人の投稿者から85000枚の写真データが支援の気持ちとともに寄せられた。

 東京工業大学の川上玲准教授がTwitterでプロジェクトの参画を呼びかけたところ多くの賛同の声があり、焼失からわずか6日後の11月6日にはプロジェクトのウェブサイトが立ち上がるほどの迅速さだった。シンポジウムの中で川上准教授は「グーグルやマイクロソフトのような巨大企業もこのような(3次元モデルによる文化財の再構築の)プロジェクトを行うことは可能です。しかし、写真の背景にある首里城での思い出や支援の気持ちの物語を集めることは彼らには難しいでしょう。だからこそ私は、そのような個人の思い出を集めることこそがこのプロジェクトの鍵になるのではないかと思いました」とその意義を説明した。

プロジェクトの開始を思いついた当時の川上氏のTwitter

 川上准教授は、文化財のデジタル保存に関する国際会議を主催していた時にちょうど、首里城が焼失したことを知った。その会議で賞を獲ったのが大量の写真資料からローマの都市を3Dで再現する技術だったことから、首里城のデジタル復元のヒントを得た。

 基調講演の中では、デジタル復元された首里城を見て喜びの声をあげる興南高校の生徒の様子も紹介された。部活の一環で首里城をガイドしてきた生徒らは、首里城がなくなってしまったことに心を痛めていたという。

 講演後に川上准教授は「文化財のデジタル復元に関わってきてはいましたが、私の担当は色などの復元で、三次元復元の研究者ではなかったので、私が声をあげるべきかどうか迷いました」と当時を振りながら明かしたものの、結果的には多くの人を喜ばせることができた。

 首里城正殿の復元工事は11月3日に起工式を迎える。3次元モデルとして人々の思いとともによみがえった首里城は世界中どこにいてもウェブ上で見ることができる。URLはhttps://www.our-shurijo.org/


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