沖縄市長選は自公推薦の桑江朝千夫氏が再選 「オール沖縄」連敗続く
- 2022/4/25
- 政治
任期満了に伴う沖縄市長選は24日投開票され、無所属現職の桑江朝千夫氏(66)=自民、公明推薦=が無所属新人で前市議の森山政和氏(73)=立民、共産、社民、社大、にぬふぁぶし推薦=を1万89票の大差で破り、3期目の再選を決めた。市美里の選挙事務所で当選の弁を述べた桑江氏は「これまでの2期8年が評価されたことにほっとしている。これからの4年間も期待されているということが勝利につながったと思う」と喜びを語った。
今年は”選挙イヤー”の沖縄。政権与党の自公は1月の名護市、南城市、2月の石垣市に続き市長選で4連勝となり、7月に予定される参院選、9月の知事選に向けて弾みを付けた形。再選を目指して知事選に出馬すると見られる玉城デニー知事は沖縄市議を経験しており、同市を地盤としているだけに、玉城知事を推す「オール沖縄」勢力にとっては打撃となりそうだ。
投票率は過去最低
沖縄市長選の結果は以下の通り。
桑江 朝千夫 29,738票
森山 政和 19,649票
無効 394票
当日有権者数は11万289人で、投票率は過去最低だった前回から2.13ポイント減の45.14%となり、さらに下回った。
2期8年の実績が評価 桑江氏
沖縄アリーナの完成やホテル誘致などの実績を強調するとともに、国道拡幅による中心市街地の活性化や貧困問題を公約として掲げた桑江氏。メディア各社による当確の報を受け、膝の上で控えめにガッツポーズをした後、陣営関係者とグータッチで喜びを共有し周囲の支援者に促されて高らかに万歳三唱した。
「公務をこなしながらの選挙戦で辛い部分もあったが、皆さんに励まされて精一杯走ることができた」と振り返り、感謝を述べた。共に市政運営を担ってきたが、今月急逝した仲本兼明副市長に向けて「何よりも、勝利したことを仲本副市長に報告できることを嬉しく思う。兼明、ありがとう」と声を強くした。
一方、投票率の低下を「反省しないといけない」として、選挙戦を総括した上で原因を探り、参院選につなげていく考えを示した。
3期目に向けては「まずは心を1つにして、2023年のバスケットワールドカップを成功させるために具体的な取組をしていかないといけない」と述べ、さらに「貧困対策のチームを作って課題解決の模索にすぐ取り掛かる」とも付け加えた。
その上で「これから大きく変わっていく沖縄市の先頭に立つことはやりがいもあるし、あらためて嬉しく思う」と喜びを噛み締めた。
知名度の広がり限定的 森山氏
椅子に座ってじっとテレビ画面を見詰め、開票結果を待っていた森山氏。メディア各社が桑江氏の当確を打ち始めると、徐々に表情が険しさを増していった。市議を3期目途中まで務めたが、野党の候補者選考に時間を要し、擁立が決まったのが1月最後で知名度の広がりは限定的だった。
支持者の方に向き直り、マイクを握ると「残念な結果になってしまいました。短期決戦ということで、私の政策が浸透できなかったということ。深く反省しています。本当に申し訳ありませんでした」と頭を下げた。
政策では人づくり、地域づくり、仕事づくりの3点を掲げ、「市民所得10%アップ」を繰り返し訴えた。コザ十字路でのバスターミナル整備や次世代型路面電車(LRT)の調査研究など大型の経済政策も打ち出したが、財源の確保など課題も多く、公約を浸透させきれなかった。
桑江市政に対しては「貧困問題の解決には、やっぱり所得をアップすることがいちばん。しっかりやってほしい」と要望。沖縄アリーナの運営についても「もっと市民の生活に直結するような運営をしてほしい」と注文を付けた。
参院選、知事選への影響は
沖縄市は那覇市に次いで県内で2番目に人口が多いだけに、7月に予定される参院選と9月の県知事選への影響は大きい。特に再選に向けて県知事選への出馬が見込まれる玉城デニー知事は沖縄市を地盤としているため、支援するオール沖縄勢力には厳しい結果となった。
森山氏の選挙事務所で結果を見届けた後、記者団から参院選と知事選への影響を問われた玉城知事は「選挙はその時の状況で何が争点になるかは変わってくるので、先のことを予測するのは非常に難しい」と関連性を否定。ただ「負けに不思議の負けなし」とした上で「結果を分析し、次に備えていけるようにしたい」と淡々と語った。
一方の桑江氏は参院選と知事選に向け、自公が推す候補にとって「(今回の選挙結果が)大きな影響を与えられればいいなとは思っている」と前向きに話す。参院選は現職の伊波洋一氏に対して、自民党県連は総務官僚出身の古謝玄太氏の擁立を決めている。知名度が課題となっているため、今回の得票を古謝氏も票に繋げていく構えだ。