空き畑を活用、地域一丸 植付から収穫まで体験 うるま市赤野区

 

 うるま市赤野区自治会(座間味勇自治会長)では、コロナ禍で思うように地域行事ができない中、空いている畑を活用し、子どもたちとジャガイモを栽培する「赤野キッズみんなでジャガイモプロジェクト」を進めている。プロジェクト発起人の赤野青年会OBの比嘉晃志(ひがこうじ)さんは「育ててくれた地域に恩返しがしたい。子どもたちに赤野の自然と食の素晴らしさを体験してほしい」と仲間と一緒に活動を実施、赤野自治会・青年会・子ども会が中心となって行われた。植え付けから収穫までの農業体験の様子や地域への熱い思いを聞いた。

空いている畑を活用して地域活性化

 比嘉さんらは、コロナ禍の中で思った様に地域行事が出来ないことにもどかしさを感じていた。「野外で開催できる事はないか」と考え、高齢者の多い赤野区の遊休化している畑に目をつけた。「その畑を有効活用させてもらいながら、子どもたちに食育体験を通して地元の自然の素晴らしさを体験させてあげたかった」と話す。

 青年会活動で得た地域の人々の繋がりに感謝し、恩返しがしたいと、赤野区の座間味勇自治会長へ企画を持ちかけると、座間味会長は思いに賛同し意気投合。自治会は比嘉さんらのために助成金の情報収集をしたりするなど、全面的に協力していった。

 比嘉さんは「僕たちも小さい頃から地域にお世話になって身も心もここまで大きく育ててもらったので、その地域に恩返しの意味も込めてメンバー全員が速攻で動き出しました」と振り返った。

植え付けに夢中の子どもたち

 畑を提供してくれたのは、地元の座間味良昭さん。さらに比嘉さんらは、山芋の重量を競う山芋勝負「赤やまいもの部」で優勝経験のある座間味清さんから事前に植え付けの指導を受けた。

 ジャガイモの植え付け体験が行われたのは、昨年11月中旬だった。当日は比嘉さんらが子どもたちに手順を説明。子どもたちは青年会のお兄さんたちの説明を聞いた後、土いじりを楽しみながら、ジャガイモの種苗を植え付けていった。子どもたちの腕前が徐々に上達していく様子を、近所に住むハルサー(農家)のおじぃとおばぁが、笑い声を上げながら楽しそうに見守っていたという。

 植え付けを終えた子どもたちは「あと何回寝たらジャガイモが出来るの?」とすでに待ちきれない様子も見られ、その後、保育園の帰りに畑をのぞきにくる子どももいたそうだ。

植え付けの様子(比嘉さん提供)

お待ちかねの収穫、ジャガイモを手に取り大歓声!

 そして、3月中旬、いよいよ収穫時期がやってきた。子どもたちは土の中から次々とジャガイモを掘り出し、見つける度に大喜び。「見てー!」と嬉しそうに獲れたジャガイモを見せ合い、「いっぱい獲れた、楽しい」と大はしゃぎ。ジャガイモの苗や、土の感触、たくさんの自然に触れ、参加した100人の親子らは、バケツや袋いっぱいのジャガイモに大満足、収穫の実りの喜びを味わっていた。

収穫の様子(比嘉さん提供)

農業体験を通して子どもの関心を引き出す!

 その後、収穫したジャガイモを材料にして青年会が前日に仕込んでおいたカレーを味わいながら交流した。子どもたちはほくほくしたジャガイモを頬張り、格別の美味しさに喜びが何倍にも。「収穫したジャガイモをお家でもカレーにします!」という子どももいた。

 比嘉さんは「食育や農業体験を通して、普段食べている食材や野菜がどうやって出来ているのかを体験することで、子どもたちの食への興味や関心を少しでも引き出したい。子どもたちはもちろんですが、僕たちもこの農業体験を実施する中で畑に関して無知だったので、土づくりや植え付けの仕方など自分たちが学べたのも良かったです」と振り返った。

地域の繋がりの大事さを伝えたい

 うるま市赤野区は創立104周年。比嘉さんのように「地域のために」と熱い心を持った若者が多く、さらに思いに賛同して動く仲間や自治会、地域の連携がある。収穫した夜は、若いメンバーが集まり、赤野区の未来を熱く語ったそうだ。

 比嘉さんは、「農業体験で一番伝えたかったことは、地域の繋がりの大事さ。畑を貸してくれた方や当日参加してくれた親御さんと子どもたち、手伝ってくれた方々も含めて、地域の繋がりがないとここまで実施できなかった。この体験を通して親御さんたちにも、もっと積極的に地域行事に参加してもらって、将来を担う子供たちを一緒になって育てていきたいです」と熱い思いを語った。

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