遠山光一郎の「沖縄VSアジア国際都市」7:語学力で日本牽引を

 

バイリンガル教育のメリット

 シンガポールの公立学校のレベルはとても高く人気があるが、他の東南アジアの国々ではインターナショナルスクールの方が人気があると思う。ベトナムでは在ホーチミンシティのシンガポールインターナショナルスクールも大変人気で、学費等は高いが、英語水準の高さを誇るので富裕層のベトナム人にもとても人気があった。私の友人の姪もシンガポールインターナショナルスクールへ通っていて当時15歳だったが、問題なく私との会話を英語でこなしていた。英語力という意味で考えるとインド、フィリピンとシンガポールは英語が共通語であるので、個人の学力や発音の差はあるが、ほぼネイティブと言っていいレベルであろう。

 シンガポールでは英語の他に中国語、マレー語、タミール語がそれぞれの民族で話され第二国語となっていて、話者人口の70%以上を占める中国語が第二国語としてメジャーである。バイリンガル教育は民族独自のアイデンティティーや文化を守るためでもあるが、ビジネスでも多言語を操る人々が多いということは大きな利点となる。

日本の英語会話力の低さは深刻

 日本の英語力は国際的調査でも示されている通り、先進国と比べるまでもなく、アジアの発展途上国と比べても下位に位置していると私も海外で生活する中で感じている。特に会話力は深刻であると言える。これは日本人のビジネスマンの英語力を見てもはっきりしている。近年、特に中国や東南アジアの都市部の若者の英語力は大きく向上しており、これからのボーダレス化では深刻な問題である。

 私は90年代に中国やベトナムなど簡単に海外に行けない共産圏の大学生や高校生が主宰する週末の英語会に参加したことがある。彼らは同国人同士でも恥ずかしがらず英語で真剣に話し、外国に行くことなく英語を習得していた。要は、自ら英語環境を作り出していると感じた。アリババ創業者のジャック・マーも、ホテルにいる外国人に声をかけて英語を習得したことが知られているが、自分で英語環境を作り出したという点で共通している。

沖縄人には「コミュニケーションのセンスがある」

 観光立県である沖縄は英語、中国語など語学に関しては他県と比べると良い位置にあると言えるかもしれない。 海外での観光プロモーション活動を見ていても、他府県より語学ができる人材が多いと感じている。しかし、日本で少し良い位置にいても、国際的に見て劣っているレベルということに変わりはない。沖縄でも更に官民で語学力を強化し、日本の国際化を引っ張っていけるシステムや人材を多く生み出して欲しいと願う。語学はコミュニケーションであり、ウチナーンチュにはそのセンスがあると信じる。

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