歌で乗り越える「コロナ節」在米国の県出身女性ら作詞

 

 新型コロナウイルス感染症が世界中で拡大する中、「みんなで心を合わせて乗り越えていこう」と米国に暮らす沖縄出身の女性3人が歌詞を考え、沖縄民謡デンサー節のメロディーに乗せて歌った曲「コロナ節」がフェイスブックなどを通して話題になっている。うちなーぐちの歌詞でコロナ禍の時世を反映した歌詞に、感染防止や助け合いの大切さ、苦しい時期を乗り越えようと呼びかける内容が話題を呼んだ。さらに、この曲を沖縄の民謡歌手・仲宗根創さんがラジオで披露すると、リスナーの話題となり、動画でも配信したところ、海を越えて沖縄だけでなく米国や南米にも広がった。

作詞は米国に暮らす県出身女性

 歌詞を考えたのは、米国オハイオ州で暮らす沖縄出身の女性3人。北大東村出身の里子・コートランドさん(73)、名護市出身の節子・ランニングさん(70)、宜野湾市出身の秀子・ムーアさん(80)で「オハイオ沖縄友の会」のメンバーである。

 米国で新型コロナの感染が拡大し、オハイオ沖縄友の会では、「春の集い」や「ピクニック」、「エイサー」などすべての行事が中止となった。外出制限による不自由な生活や感染への不安な日々が続く中、里子さんが「みんなの励ましに歌をつくってみない?」と呼び掛け、3人で思いついた言葉を書き出した。

歌詞を考えたオハイオ沖縄友の会の(左から)里子さん、節子さん、秀子さん

デンサー節に乗せてアレンジ

 完成した歌詞は、オハイオ州の隣にある「シカゴ沖縄県人会」で長年三線の指導に当たるうるま市出身の米子・ケーブルさん(82)のもとに届く。米子さんは「歌ってくれないかと聞かれ、世界の皆さんが悩んでいる時に一人でも多くの人がコロナの歌を聴いて、慰めることが出来たらと思って頑張って歌ってみた」といい、沖縄民謡「デンサー節」のメロディーに乗せてアレンジし、曲が仕上がった。その後、シカゴ沖縄県人会が米子さんの歌をYoutubeやフェイスブックで紹介したところ、フロリダ県人会など米国内の県人会のフェイスブックでも拡散。

 「家(やー)に居(をぅ)しん、しきんぬたみ(家にいるのも社会のため)」
 「やがてぃくすいぬ できし(やがてワクチンが出来ます)」
 「願てぃうまちさびら(その日が来るのを願って待ちましょう)」
 「皆しちむあわち、たげにちばらなや(みんなで心を合わせて、お互いに頑張りましょう)」
 など、コロナ禍の時世を反映した歌詞に、感染防止や助け合いの大切さ、苦しい時期を乗り越えようと呼びかける内容が話題を呼んだ。

三線愛好家でシカゴ沖縄県人会の米子・ケーブルさん

仲宗根創さんのラジオで披露、リスナーの話題に

 さらに、里子さんの妹と交流のある、故・登川誠仁さんの最後の愛弟子である沖縄民謡歌手・仲宗根創さんに「世界中の人たちがコロナ節を聴いて、このコロナの渦の中で皆さんが癒されてくれたら嬉しいので歌ってください」と頼むと、仲宗根さんは喜んで引き受け、自身がパーソナリティーを務めるラジオ番組で歌うと、リスナーの話題となり、その後、動画配信をすると、海を超えて沖縄だけでなく米国や南米にも拡散され、反響を呼んだ。

仲宗根創さんが歌う「コロナ節」・youtubeより

前向きな気持ちを歌った歌詞に注目

 完成した「コロナ節」は、5番まであり、節子さんが1番、里子さんが2番と4番、秀子さんが3番を考え、5番は仲宗根創さんが最後の締めくくりとして歌詞を付け加えて完成した。

一 コロナ節歌てぃ 皆し肝あわち 守てぃいちゅしどぅ 
  務(ちとぅ)みどーやー 御願げさびら 互にちばらなや
(訳)コロナ節歌って みんなで心を合わせて 守っていくのが務めです お願いします お互いに頑張りましょう

二 今(なま)ぬ浮世(うちゆ)や恐(うとぅ)るしむん コロナ戦(いくさ)に負きんなよ 
  やがてぃ薬(くすい)ん出来(でぃき)し 願てぃ御待(うま)ちさびら 互にちばらなや
(訳)今の社会は大変ですが コロナとの戦いには どうか負けないでください やがてワクチンが出来ます その日が来るのを祈って待ちましょう お互いに頑張りましょう

三 年寄(とぅすぅい)ん若者(わかむぬ)肝揃(すり)てィ 
  家(やー)に居(をぅ)しん世間(しきん)ぬ為(たみ) 
  健康第一(でぇいち) かながな語(かた)てぃ遊(あし)ぶし願ゆん 互にちばらなや
(訳)老いも若きも心合わせて 自宅に居るのも社会のため 健康第一 しみじみ語り 遊ぶことを願う

四 童(わらび)んちゃーん家ぐまい 手墨学問忘(てぃしみがくむんわし)んなよー 
  親子(うやく)揃(すり)とてぃ 学ぶしん親(うや)ぬ務みやんどー 互にちばらなや
(訳)子どもたちも外出控えて 自宅で勉強 親子で語り 親が教える教養しつけ お互いに頑張りましょう

五 コロナ節歌てぃ 世界(しけ)ぬ国々 手(てぃ)ゆ取(とぅ)やい 今どぅ我ったー 心結(くくるむし)ぶる時節(じしち)やんどー 互にちばらなや
(訳)コロナ節を歌って 世界の国々が手を取り合って 今こそみんなで 心を一つにして乗り越えましょう お互いに頑張りましょう

沖縄民謡を集めたアルバム「沖縄ユーモアソング決定版」に収録

 さらに、「コロナ節」の反響は続く。沖縄民謡の中からユーモア溢れる歌を選んだ2枚組アルバム「沖縄ユーモアソング決定盤」にボーナス・トラックとして収録されることが決まった。「沖縄ユーモアソング決定版」には、結婚したくてうずうずしている男性を歌った「なんちち節」やハイカラ好きな一人娘を歌った「ハイカラ娘」、コロナ禍の時世を反映した「コロナ節」、「ソーシャルディスタンス小唄」が収録され、コロナ節は仲宗根創さんが歌と三線を担当して収録が行われ、昨年11月末から販売されている。

 CDを受け取った里子さんら3人は「コロナ節がCDに収録されるなんて夢にも思っていなかった」「これ程広くみなさんに愛されるとは毛頭にもないこと。励ましになるのでしたら幸い」と喜んだ。

 新年を迎えた今も尚、新型コロナ変異種など一向に感染が収束しない現状が続いているが、節子さんは「コロナ節の一節一節を口ずさみ、自尊心を持ってこのピークを乗り越えて行こう」、秀子さんは「今まで通りやーぐまい。特に私を含めて老人は用心に限る。あと暫くの辛抱」、里子さんは「皆さんがコロナ節に願いを込め、いつかはコロナが終息すると信じて希望を持って歌い、その日が来る事を楽しみに待ちたい。皆さんの大声『タゲイニチバラヤ』が世界中に届く事を祈っております」と終息の願いを込めた。

ボーナス・トラックでコロナ節が収録された「沖縄ユーモアソング決定版」CD

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安里 三奈美

投稿者記事一覧

ボリビア在住3年、1児の母。フリーライターとして観光や沖縄県系コミュニティーについてWEBや紙媒体で執筆、寄稿等を行う傍ら、家系図や家族史・自分史の制作会社の代表も務める。2011年に県系の若者をつなぐネットワークを構築、県系若者が集う大会を世界各地で開催。2015ミスうるま。著書に「刻まれた21cm」(文芸社)

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