カテゴリー:宮城亜茶子の生活と意見
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連載小説・宮城亜茶子の生活と意見 第五回
十六日祭の日。亜茶子は妹の和果子に車で拾ってもらったあと、ケンタッキーと上間天ぷら店をハシゴして首里の霊園に向かった。車の後部座席では、緑と黒の市松模様のマスクをつけた甥の満司郎と姪の柚子が鬼滅の刃の… -
連載小説・宮城亜茶子の生活と意見 第四回
花柄のマイバッグをGMW号の前カゴに入れて、アパートまでの道のりをひた走る。三分もしないうちに、レジデンス久茂地が見えてくる。就職と同時に移り住んだ1K・三万八千円の物件は、築三十年を過ぎて所々ガタがきている… -
連載小説・宮城亜茶子の生活と意見 第三回
働き方改革が始まる前から、亜茶子は十六時五十分に退社することに決めている。二十代の頃は必要のない資料整理や掃除をして時間を潰したものだが、もはやそのような勤労意欲はなく、「お疲れ様でした~」と流れるように言っ… -
連載小説・宮城亜茶子の生活と意見 第二回
グスク・トリオが揃った翌週の水曜日、玉城さんの「はいはいはい」が引き金となって、亜茶子の溜まりに溜まったストレスは爆発した。 「玉城さん、人の話は最後まで聞いてください! その二つの耳は飾りなんですか… -
連載小説・宮城亜茶子の生活と意見 第一回
宮城亜茶子は那覇にある建設会社で事務の仕事をしている。専門学校を出てすぐに就職して、今年で十五年目になる。入社当初は最年少だったが、先輩たちが一人、また一人と退職していくうちに、いつの間にか事務員の中ではお局…